安蔵と狐 狐の恩返し 狐の剃刀 尾原の狐火 狐の敵討ち 崖の上の狐と婆 犬のしつけの失敗 山根の狐の嫁入り 狐の嫁入り

大師 安蔵と狐 Friendship between Yasuzou and fox

昔 奥の奥の奥山の山間に 住んでいた安蔵の家族が、川魚を 干していると 女狐が 盗て逃げようとしました。捕まえると 女狐は「子供達は食 べ盛りなのに、今年は 餌Esaが 捕れないで 痩せて来ました。それで 仕方なく盗もうとしたのです。  堪えください。」と 懇願するのです。山の中の田畑では 作物は 少ししか取れません。食べ物の不自由を 良く知っていたので、同情し 許してやり 朝食の残り物を やったのです。狐は 感謝し  お礼に 山菜や 薬草や 栗を 持って来ました。持ちつ持たれつの生活をする内に 2つの家族は 大の仲良しになったのです。貧しい安蔵には 沢山の借金がありましたが、収入が乏しく 払えません。下の村から 借金取りが 毎月 決まった日に来て、安三の家の前で「金返せ」と 怒鳴っていました。また その男が 山を登ってきたので、母狐は 可愛い娘に化けて「お酌のサービスをするから 町で 一緒に 飲みましょう」と 誘い 借金取りが  安三の家に向かうのを 邪魔しました。借金取りも 曲がりなりにも 男ですから、見目麗しい女性には 弱く 邪Yokosimaが 頭を過りyogiri 誘いに 乗りました。男は 娘を酔い潰させようと 美味い酒と 旨い肴をドンドン注文しました。男が飲み比べをしようと切り出すと 娘は 喜んでグイグイと 濃い酒を 飲み干しました。男が仕方なく 同じ濃い酒をがグイグイ飲み干す 度にいくら 飲んでも酔わない娘は 色っぽい仕草と 艶のある声で 返杯しました。鼻の下を伸ばした 男は 調子に乗せられ ついに酔い潰れました。それを 確認した所で 娘は飲むふりをしながら溜めた 酒の入った袋を 持って消えたのです。男が 目を覚ますと 酒屋に「見事に 狐に騙された」と 大笑いされました。次の月も 借金取りが やって来ました。また あの女が出て来て 町へ 誘うのです。今度は 狐を痛めつけて 楽しもうと思いました。「この山道をか。弱い女が 歩くのは大変じゃ。 笹百合(の様な 華奢Kyasyaな女が 疲れるのを見るのは 忍びない。 負ぶって差し上げましょう。」と 紳士ぶり 娘を 背負ったのです。すると男は 途端に乱暴になり「もう逃がすものか」と 言って、逃げられないよう 手をしっかり持ちました。娘は「下腹が 強く圧迫されています。 オシッコが 漏れそうです。  厠をさせて。」と 頼みました。狐のオシッコは とても臭い事を知っていたので 小便を 掛けられては堪らない」と 思い娘を下してやりました。娘が 茂みに隠れ 尻を出し オシッコを し始めました。男は 見たい気持ちを 抑え それで も逃げられないようにと しっかり手を 握りあらぬ空を 向いていました。娘は 手を強く握り返して来ました。狐と判っているとは言え  可愛い年頃の女に 手を握り返されたので 悪い気はしません。余りに 長い小便に呆れ 振り向いてみると、男の手は 立ち木に 括られていたのです。又 狐に化かされたと 解り、腹が立って 追いかけると 切り株に 躓き 足をくじきました。「何だか 暖かく柔らかい株だった」と ビッコを 引きながら 村に帰って行きました。足の痛みも取れ、次の月にも 借金取りが やって来ました。すると 小さい坊やが 道端で 苦しがっていて「腹が痛い」と 言うのです。見ると 安蔵の孫に 似ています。しかし安蔵の孫にしては  顔は細く 耳が大きく 細身過ぎる上 獣のような悪臭があるのです。「狐の奴が また騙しているぞ。  今度こそ 騙されるものかと。」と 息子を 縛り上げ、肩に 担いました。孫が「苦しい  ウンコが出そうじゃ.」 と 言いましたが、男は「その手は2度と食わないぞ。」と 安蔵の家にそのまま向かいました。孫が「痛い 痛い」と言って暴れると男は「煩いurusai 動くな。」と 更に 強く締め付けました。孫が「うーん」と 言って臭いオナラをした後 静かになりました。男が 安蔵の家に着くと 孫を 玄関に放り投げ「金返せぇ これからは 狐に 邪魔させるな。」と 大声で 呼び出しました。死んでいる孫を見て、安蔵は 嘆いて 孫にすがりつき、悲嘆の涙を 流したのです。死ねば 狐に 戻っている筈の孫が 男の子のままだったので 男は「もしかすると 本物の安蔵の孫かも知れん。さっきのおならは いわゆる 狐の最後っ屁だと 思っていた 。 安蔵の孫は 良く狐の子と遊んでいたので狐の臭いが 移っていてもおかしくない。」と 思いました。そこへ 婆さんが 騒ぎを 聞きつけ畑仕事から 鍬を担い 戻って来ました。様子を見て一切を察すると「孫の仇じゃぁ  殺してやる。」と 物凄い表情をして、鍬で 襲い掛かったのです。男は 逃げました。川が ありました。「川を泳いで逃げよう。」と 川に入り泳いだのです。何と婆は 川の上を 走って追いかけて来るではありませんか。やっと 川を泳ぎ切りました。角を曲がると 運良く番所が 有りました。番所に 駆け込み「助けてくれ 殺される。」と 助けを求めました。ところが その番所の駐在は 安蔵の息子だったのです。「お前の息子を そいつが殺した」と 婆が 叫びます。「そうか 許さん」と 息子も 加わって 追い掛けました。それまでに 散々婆に追いかけられていた男は すでに 息も絶え絶えでした。追跡者が 若い駐在に代わったので、アッという間に追い付かれました。「助けてくれ 借金は 反故Hogoじゃ。何なら 蔵の財産もやる。仏の道に入り 子供の供養もする。」と 泣きながら 懇願しました。すると 間良く 松本坊の和尚が どこにいたのか 突然に 出て来ました。男は 和尚に 縋り付きました。和尚は「解った 匿ってやる。安蔵の家族には よう言って 聞かせるので 安心しなされ」と 言って、安蔵の息子と 目配せし 寺に 連れて行ったのです。男は 和尚に「早く頭を剃っ)てくれ。」と 願いを 繰り(返しました。和尚は「良い心がけじゃが 今剃刀kamisoriがない。髪を 毟り抜いても良いか」と 尋ねました。借金取りは「かまわん。 早く 坊主頭にしてくれ。」と 泣いて頼んだのです。和尚は 男に 借金の反故と 財産分与の証文を 書かせました。頭は 毛を 全部毟られて 真っ赤になりました。

痛い頭を擦りながら 安蔵の家に 向かうと、番所は無く 川は 薄原Susuki-no-haraの草波と なってました。安蔵の家に着くと 門構えが違い、孫が 狐の子と仲良く遊んでおり 狐の父母と 安蔵夫婦が 談笑していました。男は 苦笑いして 家に 帰って行きました。それからは、借金取りの男は 強欲を止めたので お金に困った人は 安い利子で お金を借りられ喜んだそうです。     平成23年(2011年)9月4日

 

狐の恩返しGrateful fox

ある所に 爺さんが住んでいました。畑に 豆を撒き 秋に収穫し 束ねて 畑で干していると、だんだんと 豆の束が 少なくなってゆくのです。「さては 豆泥坊が いるのだな」と 思い  物陰で 待ち伏せすると やせた女狐が 豆の束を 咥えて 持ち帰ろうとするので 首根っこを 掴み 捕まえました。爺さんは「この悪たれ狐が 狐汁にしてくれる」と 狐を責めると、女狐は「私には5匹の子供がいます  この秋は 食べ物が無く 子供たちが ハラぁ減った  ハラぁ減ったと 辛がるので 悪いと 知りつつ盗みました。父狐は 餌を探しに行って 猟師か 狼に 殺されて 帰って来ません。私が居ないと 子供たちが 死にます。どうか 堪忍してください。」と 手を合わせ 泣いて 許しを請うので「そうか 子供のためにか。」と 言って 許してやりました。母狐は「必ずこのお礼は 致します。」と 言って 豆の束を貰って 山に帰って行きました。次の日  母狐が 爺さんを 訪ねて来て「太鼓に 化けます。  町で売って下さい。」と 言って、立派な 法華の太鼓に 化けました。母狐が 叩いて見てください。」と 言うので 爺さんが 軽く叩くと 太鼓は「目出た目出たの若松様よ。ハァポッポコポンポン。」と 歌いました。爺さんが「珍しい太鼓じゃ。買わんかねぇ。買わんかねぇ。」と 町で 売り歩くと、歌を 聴こうと 子供も 大人も 後を付いて 来ました噂を 聞いた分限者 が買い  面白がって 歌わせ続けたので、声は枯れ 太鼓の皮も 緩んできました。分限者は「緩んだ太鼓の皮は 酒で湿らせ 干せば元に 戻る」と 聞いていたので、酒を 口に含みプーと 吹きかけました。太鼓は 叩かれた所に 酒がしみ痛いのですが  堪えて 干されるのを 待ちました。分限者が2階の手すりに 太鼓を干し掛け 下に降りると、太鼓は 狐に戻って5匹の子供の元に 逃げ帰りました。お金持になった 爺さんは 毎日油揚げを 買って狐の家族を ねて行ったとさ。狐の恩返し- 埼玉県の昔話 | 民話の部屋 (minwanoheya.jp)」          平成23年(2011年)9月4日

 

 狐の剃刀 Lycoris sanguinea

昔 とある里に 自信満々の力蔵と言う男がいました。「俺は 喧嘩をしても 相撲を取っても 絶対に負けん。坊主や 学者よりも  知識も深い。鍛冶屋Kajiyaや 竹細工屋よりも 器用じゃ。ましてや 人に騙されないし 口も堅い。」と 豪語Gougoしていました。確かに 村の者で その右に出る者は いませんでした。だから その男が来ると 一目置くしかなかったのですが、村人達は 皆、それが 悔しがったのです。ある日 旅の僧が「人に知られたくない葬式が 有って お寺の坊様に お経を頼めないそうじゃ。誰にも知られないように 読経して貰える人は おられるか 探して欲しい 。仰山(Gyousanのお礼を してくださる。」と その男に 頼みました。狐が 良く出る所だったので 騙されるかもしれないと 用心し 歩いてゆくと、木陰で 村の五作と 六作が ひそひそ話を していました。力蔵が 聞き耳を立てると 旅の僧に 頼まれたのか「庄屋の家の不都合な 葬式の経を あげてやろうと 思う.隣村の寺に 経を習いに行く」と 話し合っていました。確かに 庄屋の家辺りは 騒がしく 泣いている者もいました。力蔵は「あの坊主の言う事は ほんまじゃ。五作や 六作に 美味しい仕事を 取られるものか 。先回りして 寺の和尚に 読経の仕方を 習おう。」と 出かけると、途中に 見慣れない古寺が 有りました。力蔵は「速い方が 良い。」と 思い、古寺の和尚に 読経の仕方を 教えてくれるように 頼みました。痩せ気味の顎の細い和尚は「奇特なお方じゃ」と 言って 快く引き受けました。力蔵は その能力を発揮し、僅か半日で  一経を 読経できるようになりました。和尚は「髪Kamiを 剃らにゃぁおえん。明日りぃ髪を 剃りに伺う。あなたの髪は 固そうじゃ 剃刀Kamisoriを ぎょうさん用意しておいてくだされ」と 言いました。和尚 がわざわざ 自宅まで来てくださると 言うので、さすがの力蔵も  恐縮し よく切れる剃刀を 沢山用意しました。和尚がやって来て 髪を剃り始めました。よく切れる筈の 剃刀の切れが 悪い様子で やたらに 痛いのです。和尚は 剃刀を 次々取り換えるのですが、どの剃刀も 切れ味が悪いのです。力蔵は 庄屋のお礼を期待し、成功後の幸せを 想像して 耐えました。剃り終わると和尚は「どの剃刀も 酷く刃こぼれしたので もう使えない。剃刀を供養しなされ。」と 言いました。剃刀を見ると どれも血で赤く 染まっています。和尚に 苦情を言うと 和尚は「お前様の髪は 剃刀の刃も 立たない程 硬いからじゃ」と 言い逃れるのです

剃刀を 瀬戸に 埋め、鏡を見ると 頭は 血だらけだったのです。血だらけの 頭では 読経を上げる事も出来ないので 家の中から 様子を伺うのですが、庄屋の家では いつまで経っても 葬式を 始めません。力蔵は やっと 村人全員と 化生狐に 総掛かりで 騙された事に 気が付きました。力蔵は 顔から火が出る程 恥ずかしかったので 髪の毛が生える迄 家に閉じ籠り 座禅を組みました。そして「人と比較し 得た自信は 妄想に過ぎず、真の自信は 全ての欠点をなくす事 だが それは 絶対に達成できない事」と 悟りました。剃刀を 埋めた所から 毎年 血の色に染まった花が 咲き、その後 剃刀の刃のような 葉が出てきました。それを 見る度に 力蔵は反省しました。それからは 相手の欠点を 罵ることを 慎み、自分の欠点を 指摘して呉れるよう求めるようにな りました。教訓を 忘れないようにするため 力蔵は この花 狐の剃刀を大切に育てました。「三谷野呂の百怪談」  下土井細田川の狐の剃刀の大群落:北緯34度52分39秒東経133度45分分37秒付近 天津神社の狐の剃刀の大群落:北緯34度55分44秒東経133度48分38秒 総社境内北西の狐の剃刀の小群落:北緯34度51分58秒東経133度45分30秒  平成23年(2011年)8月13日

 

尾原 尾原の狐火  Jack‐o'‐lantern in obara

尾原の少年が、落合の親戚に正月飾りを届けるよう父親から 使いを頼まれました。天神様(現在の重岡神社に 安全を祈願し、豊岡川に沿って 京面 中渡へと 進み、城山に 挟まれた 暗い夜道を 北に向かって 行ったつもりでしたが、中渡橋を渡り 西の道に誤って入りました。どうも 道に迷ったらしいと 気付き、誰かに道を尋ねようと 辺りを見渡しましたが 家は見当たりません。遠くの山の中腹に 青白い光が ポッポッと 上がっています。「誰かが 火を燃やしているに 違いない」と 思い、山道へ入りました。足元は 暗く何も見えないので、草木の少ない所を 足 で 探りながら 進みました。明かりは 上がり続けていたので 確信を持って 前進できましたが、ドンドン寂しくなり 道は 細くなってゆきました。不安になって 引き返そうとしましたが、今来た道が見えず どの方向に 帰れば良いかも 解らなくなっていたので 残された方法は 火を燃やしている人に 助けを求めるしかありません。舞い上がる火を 頼りに 山を登って行くと、足元に火の玉が 転がっていました。「気持ち悪いのですが、動かないので 宙狐かも知れない。ならば 蹴飛ばして消そう。」と 考え、恐ろしささを 堪えて 蹴飛ばしてみました。何やら 乾いた草鞋Warajiの様な 感触の物が 足先に触れ、火の玉は 二つになって 地に落ちました。一つは 未だ足元に 残っていたので これも 蹴飛ばすと 二つに分かれ、遠くに 跳ねて行きました。「やれやれ。」と 思い 明かりに向かうと 明かりに 少しずつ近づきました。狐の鳴く声が 陰に篭もっていて、気持ち悪い事 夥しいObitadasiiので「さっき 宙孤を蹴飛ばした 。狐が怒っている。」と 思いました。明かりが大きく見えるようになり「もうすぐ人に会える。」と 心は弾み 安堵が生まれました。しかし 闇夜とは 言え明かりの上がる辺りに 家らしい物は有りそうになく 光は暖かそうな黄色い色ではありません。やっと 眼前を妨げる茂みを超えると 土が盛り上がった所から 人の頭程の青白く透き通る光の玉が 次々立ち上っていました。宙狐か 鬼火だと 解ると 始めて 少年は 恐怖のどん底に 落とされました。しかし 初めて見る光景に 神秘的な美さえ感じ 見とれていました。「仕方がない。ここで 一夜を過ごすしかない。」と 覚悟しました。狐の鳴き声が 神秘の恐怖に 微妙な味を添えました。直ぐ狐の鳴き声が近づき、暫くすると 狼(の遠吠えが 聞こえてきました。辺りは 極めて静寂だったので 狼や狐の移動が 手に取るように解ります。仲間を集める狼の遠吠えが ますます近づいて来ます。火の玉の上がる辺りで 穴を掘る音がし 次いで 何かを引きずり出す 音がしました。すると 目の光る何者かが 直ぐ傍にいて 体を寄せてきました。少年は 寒さと恐ろしさで 震えが止まりません。光る眼が 集まって少年に 寄り添い 温かさを 恵んでくれました。「沢山の光る目じゃ。手におえん。どうせ死ぬのなら 早く殺してくれ。」と 思い ジーッと動かないで 蹲りUzukumaariました。狼が 唸りながら 何かを 食べています。手に樒Sikimiの木の枝が触れました。狼は 樒の匂いが 嫌いだと 聞いていたので 思わず折り取り 葉をもんで 樒の臭いの結界を作ると、狐の匂いを 発する何者かも 結界に 頼って 体をさらに 密着して来ました。守って欲しがっているようなので  狐の匂いのするもののために 樒を 集めてやりました。

狼が こちらを伺いに来ました。狐の匂いのするもの達は それなりに 威嚇の声を上げています。少年は 樒の枝を振って樒の香りを 狼に 嗅がせました。何かを食べて 満腹の狼は 樒の香りを 嫌って退きました。宙孤は 人の気配で 消えると 言いますが、この光りは 大きさと 量を増しました。上がり続ける宙狐を 愛でながら、狐の匂いのするものとの友情に 感謝しながら 夜明けを 迎えました。思った通りそ の生き物は狐でした。宙孤と 思っていたのは 鬼火で 光の玉の登っていた墓は 壊され 無残にも 埋められたばかりの遺体が 狼に食い荒されていました。帰り道 道に落ちていた宙狐を 探しました。皮と骨になった 鼬Itayiの成れの果てが、4つに 分かれ 散らばっていました。道を急いで 落合に行き  正月飾りを 親戚に届けると、親戚は 喜んで 飴玉を 褒美にくれました。昨夜の事を話すと 無事であった事をねぎらってくれましたが、宙狐の正体や 狐の友情については 信じてくれず「狐に化かされた」と 馬鹿にされました。少年は この貴重な経験を 其の後、この時以外 話す事はありませんでした。「著者の父より口伝」  宙狐・中狐:山際等の狐火の事で、岡山の備前地区や 鳥取での独特の呼び名です。日本各地の狐火の伝説は 概ね溝部の宙孤と同じです。狐火は 人気を嫌い 寂しい場所を 選んで現れ、人の気配で 姿を消すと言われます。だから、狐火を頼りに 夜道を進むと  ドンドン寂しい山の中に 迷い込まされます。備前の先祖墓や 埋め墓(死体を埋葬するだけの墓で祭りません)は 寂しい山の中にありますhttps://ja.wikipedia.org/wiki/迢千」「https://ja.wikipedia.org/wiki/鬼火」 鬼火:人の遺体より生じたの狐火 塚原橋:刈山 北緯34度55分16秒東経133度44分59秒    重岡神社:塚原 北緯34度55分8秒東経133度45分5秒    溝部下京面橋:北緯34度56分13秒東経133度44分40秒   溝部上中渡橋::北緯34度56分18秒東経133度44分31秒 平成29年(2017年)3月31日に【岡山「へその町』の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が発行されました。P232~P235に「狐火」「宙孤」が載せられています。 平成31年(2019年)3月31日に【岡山「へその町」の民話追補版-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利吉備中央町図書館 吉備中央町教育委員会】が発行されました。p47に「狐火」の話題が載せられています。 平成23年(2011年)11月23日

 

上加茂 狐の敵討ち Revenge by fox

昔 奥谷の山の古墳を ねぐらにしていた化け狐が 居ました。山奥には 愛宕神社が 祀られていたので 村人は お供物を持って 毎年正月と 社日に 株筋が 集まりお参りしていました。ある年の正月の参詣の途中 荷物が 軽くなるのですが、巧妙な減り具合なので 気が付かないのです。いざ 神饌をお供えしようと 荷物を開けると 狐が 好きそうな物だけ 足りなくなっていました。村人は「また狐にやられた。いつか お仕置きせにゃぁおえるまぁ。」と 話し合いました。愛宕神社参詣が 終わった後 信心深い 樋口と言う男が 奥谷の山奥の古墳に 注連縄を 張りに行くと 古墳の前でしきり に神様の姿をした者が 何かを埋めていました。樋口は「さては愛宕神社の神饌を 盗み過ぎた狐が 神様に化けて 食べきれなかった物を 埋めとるんじゃろう。」と 思い、そばにあった小石を 投げつけました。

普段は 石礫が的に当たる事は 無いのですが この時は 偶然に神様のお尻に命中しました。驚いたのは 誰もいないと信じ 夢中になって作業をしていた神様です。びっくりして飛び上がり 逃げ出すと 誤って茶釜の弦谷 に転げ落ち 激しく腰を打ちました。痛さに耐えられず 化けの皮が剥がれ 狐に姿を戻したのを見て 樋口は「狐如きが人を騙し腐って  ざまぁ見ろ」と 言って注連縄を古墳に掛け 次の古墳に向かいました。次の古墳の室には 誰かが後ろ向きになって座り化粧をしていました。樋口は「懲りない奴め  今度は若い娘に化けて色仕掛けか  じゃがどねぇな娘に化けるんじゃろう  楽しみじゃ」と 思い年寄りとは言え 男ですから 化粧が終わるのを待ちました。白粉を作っているのか しきりに何かをシャカシャカと音を立てかき回しています。樋口は「化粧も終わった  また脅して美しい娘が恐怖する姿を目の前で見てやろう」と 気付かれないようソロリソロリと近づいて もう少しで顔が見える所まで来ました。その途端 娘さんが振り向いて 室から飛び出し襲ってきました。樋口は ザンバラの白髪を振り乱し  般若のように化粧した顔の口を大きく開き 砥たての包丁を振り上げ 狐火の後光を纏って 宙を飛んできたものですから 驚いて逃げ出すと 茶釜の弦谷に転げ落ち 強く腰を痛めました。狐が「人間如きが狐をおどして ざまぁ見ろ」と 言って立ち去りました。「上加茂 原の村人より口伝」     奥谷愛宕神社: 上加茂薬師267番地より山道に入り右に廻り山道を登ると 谷に出会うので 左に廻ると 金比羅山の谷の中腹 北五34度51分22秒東経133度48分17秒の近くと推測する地点愛宕神社に見つかります  そこより下り道が有るので下ると 上加茂267番地に出ます 左の古墳:上加茂薬師267番地から山道に入り 直ぐ右に廻り  山に入り右に流れ柿方向に進むと 畑跡と思われる所の北緯34度51分15秒東経133度48分22秒の近くに 弥生時代後期のものと思われる古墳が見つかります 右の古墳:奥谷の流れ柿の下の畑を藪に向かうと北緯34度51分19秒東経133度48分25秒の近くに弥生時代後期のものと思われる古墳が見つかります。 茶釜の弦谷:愛宕神社の麓側の谷 薬缶の取っ手のような地形を 缶子の弦Kansu-no-turuと呼ばれます。

平成23年(2011年)9月6日

 

崖の上の狐と婆「奥州民話」Fox on the Cliff and Grandmother「Ou-syuu Folklore」

ある冬の日 宗介と言う男が 鶏が鳴く前に 町に買い物に出かけました。峠まで来ると 狐が 夢中になって ゴソゴソと 何かを掘り出していました。何度も 狐につままれていた宗介は「いつもの仇じゃ。脅してやれ。」と 思って たまたま落ちていた 固く凍った藁沓わらWaragutuを投げつけると 狐の尻に当たりました。天罰のような 不意に訪れた不幸に 狐が ギャと鳴いて 飛び上がる ともんどりを 打ちながら谷底に ダダッダと 転げ落ち  しこたま水を 飲みました。溺れかけた狐を 見て 宗介は「ざまぁみろ。人間様をこけにした罰じゃ。」と  ウキウキして 帰り始めました。ところが 不思議なことに 普段通り慣れているのに道に迷い  日が暮れる頃には 狐が落ちた崖の上に出ていました。困り果て 辺りを見渡すと 明かりの灯った家がありました。「提燈か 松明でも借りよう。」と 何度も何度も戸を叩いたのですが 中の人は反応しません。しかたなく「御免ください。」と 戸を開け入って見ると 耳が遠いのか 後ろを振り返りもせず 婆が 熱心にお歯黒を塗っていました。不気味な 光景の時が過ぎ 囲炉裏の火が絶える頃 お歯黒を塗り終えた婆が「カネはよう乗ったか。」と 裏返った声で言うと  異常に丈夫そうな 尖った真っ黒い歯を むき出し  目玉をグルグル回しながら 振り向きました。驚いた 宗介が 飛び下がると ダダッダと 谷底に転げ落ち 溺れそうになりました。狐が「人間如きが 馬鹿め。神様の遣いである狐様を 脅しおって.」 と 言いながら 去って行きました。onboumaru.com/132-ohagurobaba」  平成23年(2011年)9月6日

 

下加茂 山根 狐の嫁入りfox's wedding in simogamo

下加茂山根ののおばぁさんが、夜に厠Kawayaに立つと 向かいの山に ポッと灯りが灯り、次第に数が増えたそうじゃ。再び見ると何もなかったそうじゃ。「吉備中央町の民話(1)」


昔 下加茂の近所のお婆さんが 夜に厠に立つと「向かいの山に、ポッと灯りが 灯っている」と 言うので、近隣の者達は みんな起き出して来て「怪しい光は 何だろうか」と 大騒ぎしながら見ていると 怪しい光は どんどん増えてゆきました。町の長老は「あれは狐の嫁入りの行列邪。  物凄い数じゃ。  明神山の狐は この辺りの狐の親玉かも知れん。 親玉の息子の披露宴の御馳走は ネズテンじゃろうから 加茂川中の鼠の殆どを 捕っただろう。 鼠がいないから 豊作じゃ。 縁起が良いぞ。 静かにして見てやろう。」と  皆を諭しました。ところが  一匹の犬が  異変を感じ 吠え出すと 村中の犬が遠吠えを始めました。その途端 狐の行列の火は 一瞬にして消えてしまいました。村人は  希望しない犬達の喧噪Kensouの所為Seiで  狐の行列のご利益が 失われる事を恐れ、犬達を 叱りました。しかし 翌年は 鼠による被害がなかったので 大豊作になりました。長老の知恵を 目の当たりにして 村人達は 長老に「来年も狐に 嫁取りさせたい。」と 知恵を 借りようとしました。長老は「狐が 嫁を取ったので 沢山の子を 産む。子育てに 鼠を沢山捕る。心配いらん。」と 答えたのです。「下加茂大寺の村人より口伝」

明神山:下加茂 北緯34度51分16秒東経133度49分29秒 山根:大寺の山よりの地域 ネズテン:鼠の天ぷら 豊川稲荷神社の狐の好物    狐火:肥料に使った魚粉 等の骨が 燐光を放つ現象 等です。 肥料を多くやると 豊作になります    犬のしつけの失敗:犬に 無駄吠えする 等 望まない行動を止めさせようとし 叱っても 悪い行動を 強化する事が しばしばあります。かまわれず退屈な時間を持て余す犬にとって 軽く叱られる事は 飼い主と 接触できる 楽しい場となるの ご褒美に相当するからです。同じように 咬む悪癖を直そうと 軽く叱り餌をやると、餌を 食べる間は 悪癖が止みますが、人を咬もうとすれば 叱られる事を 我慢しさえすれば それにも増した ご褒美がもらえるとすれば 増す増す人を 咬もうとします。

明神山:下加茂 北緯34度51分16秒東経133度49分29秒 山根:大寺の山よりの地域 ネズテン:鼠の天ぷら 豊川稲荷神社の狐の好物    狐火:肥料に使った魚粉 等の骨が 燐光を放つ現象 等です。 肥料を多くやると 豊作になります    犬のしつけの失敗Failure to train a dog犬に 無駄吠えする 等 望まない行動を止めさせようとし 叱っても 悪い行動を 強化する事が しばしばあります。かまわれず退屈な時間を持て余す犬にとって 軽く叱られる事は 飼い主と 接触できる 楽しい場となるの ご褒美に相当するからです。同じように 咬む悪癖を直そうと 軽く叱り餌をやると、餌を 食べる間は 悪癖が止みますが、人を咬もうとすれば 叱られる事を 我慢しさえすれば それにも増した ご褒美がもらえるとすれば 増す増す人を 咬もうとします。

三谷の森神社の狐火らしきも怪奇現象:階段の手前で丸い透けた虹色の火の玉が 写っていました。森神社には 稲荷大明神が 祀られていています。稲荷大明神の眷属が 起こした狐火だったのでしょうか。  平成24年(2012年)5月4日 

 

狐の嫁入り fox's wedding

ある所に5歳 の「モン」と言う少女と母が 田畑を耕し生活していました。二人は麓から登る竃の煙を見て 人々の平和な暮らしを感じて心を慰められていました。すると ある時小高い丘のうえに小さな灯を3つ4つ見つけると灯はドンドン増えて10も12にもなりました。モンが「おっ母。ほらほら。きれいじゃなぁ。」と 指さすと、母は 夕食の支度を止め「ほんにきれいじゃのう。明日は雨じゃ。田圃の稲が 喜んどるじゃろう。」と 言いました。何の事か解らないで 不思議がっていると、モンを 膝に抱っこし「ありゃぁ狐の祝言じゃ。 目出てぇ。狐達ゃぁ旨いもんを喰うて… ほれ 2列になった。 あれは嫁ごの列じゃ。花嫁衣装は ぼっこう綺麗なんじゃ。雨に濡れちゃぁ汚れるけぇ 狐は雨が降る前に 嫁取りを済ますんじゃ。じゃけぇ  明日リぃは雨じゃ。稲がよう育って 米がようけぇ 採れたら 綺麗なべべぇ買うちゃろう。」と 言うと、モンは「狐の嫁っこの赤ぇ着物が きれいじゃけぇ あれにしてぇ。」と 答えました。やがて モンが大人になり 母親がなくなると、小高い丘を見て「ああ。今日は狐の祝言は無ぇ。明日りぃは晴じゃろう。芋堀でもすべぇ」「あぁ。今日は狐の祝言があった。明日りぃは雨じゃ。 納屋で縄を綯おう。」と 仕事の段折りを 決めたそうじゃ。http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/280400/p001536.html」 2017年3月31日に【岡山「へその町』の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が発行されました。P230~P231に「狐の嫁入りの火」「狐の嫁入り」が載せられています。

平成24年(2012年)5月4日