何百年も 前の事です。未納谷の田守という男は 人程も ある大狐が 化ける所を 見ました。辺りを威圧する程に 眼光鋭く 物凄い怪力の持ち主で 且Katu 乱暴そうに見えました。「きっと 狐族の王なのだろう。」と 思いました。頭に 木の葉を乗せ 口に巻物を咥え 胸の前で 印を結び 何やら 唱えています。人の名前の様な 言葉や 恨みがましい言葉が 混じっているようです。狐は 見事な 若者に変身しました。きっと 誰かを騙しに これから行くのだろうと 察して こっそり後を 付けました。するとお人好しの保の隣の家に 来たのです。
この家には 可愛らしい則ちゃんと 言う娘がおりました。田守は この可愛らしい娘に、好意を 懐いていたのです。この娘を 狐が狙っているらしく、どこから 忍び込もうかと 迷って 家の周りを グルグル回り、中の様子を 伺っています。狐の若者は 裏木戸の前の庭石に 腰掛け 思案投げ首で 考え込みました。狐に 見つかれば どんな目に合されるか 解りませんが「この狐に 好いた娘を 汚されては なるものか。」と 勇気を出して 門を潜ったのです。家の者に「狐の王が 騙しに来た。娘さんを狙っている。 庭石の陰で思案している。」と 知らせました。家の者は 驚き、外に 一斉に 出て来たので 狐は 慌てて逃げて 行きました。田守の勇気ある行動に 感謝し、家族の者達は 招き入れ「娘は おてんばですが 婿(に来てください。しっかり者の お隣のお前様を 好いている。」と 頼む込むので、ちょっと 臭いと 思いましたが 中に入りました。娘も その気らしく お化粧を し直し 着替えをし、お酒の支度をし 傅いてKasizuite 酌をしてくれ、優しく話し掛け 時々流し目を 送ってくるのです。田守は すっかり その気になって 良い気分になって しまいました。娘が 隣の部屋に行き どうも 布団を 敷いているらしい音がします。始めの内は 見たい気持ちを 抑えていましたが、ついに 好奇心が 理性を上回り そっと襖Husumaの隙から 覗いたのです。ところが その瞬間 騒ぎを 聞きつけ 集まっていた 大勢の人の笑い声が 聞こえました。すると それまであった筈の隣の家も 自分の家も消え、なんと田守は 野壷を 覗き込んでいたのです。田守は 2日程前に 狐の親子が 飼っている鶏を 狙っているのを見つけ 追い掛け、散々に 虐め抜いた事を 思い出しました。あの壺の上で バタンと寝たら どんな結果に成ったかと 想像すると 思わず 苦笑いしました。[三谷野呂の百怪談」
三納谷集落:北緯34度53分9秒・東経133度46分456秒 渋理の久保田神社の使わしめは 火雷神社に関連して 狸と思われがちですが 狐らしいです 久保田神社・細田天津神社:北緯34度53分38秒・東経133度47分7秒 「文吾と狐 - 和歌山県の昔話 | 民話の部屋 (minwanoheya.jp)」 平成29年(2017年)3月31日に【岡山「へその町」の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が発行されました。P225~p227pに「風呂は野つぼ」「寝室は肥溜」「女が招く」の民話が載せられています。 平成31年(2019年)3月31日に【岡山「へその町」の民話 追補版-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利吉備中央町図書館 吉備中央町教育委員会】が発行されました。p44~P46に「風呂は肥溜」「風呂は川」「青畳は池」「家は土手」と言う物語が載せられています。
平成24年(2012年)2月22日
昔 文吾と言う とてつもなく 負けず嫌いの男が いました。その性格を 知っていた村の衆は 文吾に 聞き取れるか 聞き取れないかの 微妙な距離で「下の田圃に 人に化けて 他愛も無ぇ悪さばぁする女狐が 出るんじゃ。もんげぇ別嬪じゃけぇ わしも 騙されに行こうと思う。文吾にゃぁ教えるんじゃぁねぇぞ。先に 化かされに 行こうとするけぇ。」と ヒソヒソ話を しました。それを 聞いた文吾は「意地悪な 奴らじゃ。わしばぁ 除け者にして。狐が 人ぅ 騙した話ぁ聞いたが 騙された事ぁ無ぇ。わしが 退治して 村の衆の楽しみゅう 無くしてくれる。」 と負けん気を 露わにして 下の田に やって来ました。煙草を吸って 気を落ち着かせていると、向うの藪の陰で 狐が 頭に 何かを乗せ クルリと宙返りして それは もう美しい娘に 化けました。「ほんまじゃ。狐は化けるんじゃ。あねえな別嬪さんなら 多少の悪戯ぁされても 満足じゃ。もそっと様子を見よう。」と 思っていると、娘は 田圃の脇の家に スッツと入って行きました。「狐は どうやって人を化かすんじゃろう。」と 思い ソッと 忍び寄り 戸口の節穴から中を覗くと 饅頭を ご馳走になっていました。「狐も狐で 何て図々しいんじゃ。騙される方も 騙される方じゃ。あねぇな良ぇ茶迄 出しておる。」と 笑うと、狐が 人気を感じ 振り向いたた拍子に 戸を通り抜けて 饅頭が 文吾の足元に 転んできました。「成程 これが 狐の常套手段か。」 と 思いながら 騙されたように 饅頭を 食べるふりをしました。すると 狐が 手元を 隠して 何かを作り始めました。中が 薄暗いので 仔細が 良く見えないので 良く確かめようと 思いっきり 目を 節穴に押し当てました。すると「文吾ぅ。何ぅしとられるんならぁ。牛の尻尾ぉぅ たくし上げて。」と 呼び止められ、ハッと 正気の戻ると、なんと 牛の尻の穴に 片目を押し当てていたのたっだとさ。「文吾と狐 - 和歌山県の昔話 - 民話の部屋 | フジパン 平成24年(2012年)2月22日
円城 虎に化けた狐 Fox turned into a tiger
遠い昔の話です。お寺の和尚が 村の子供達を 集め 何かを 教えていました。「雀蜂Suzume-batiは 強い毒を 持っているので お前さん等も 怖いと 思っているんじゃろう。それもあるが、蜂は 虎模様Tora-moyouをしておる.虎は どんな動物より強いので、どんな動物でも 怖がる。人間まで 恐れて 虎には近寄らん。虎の模様をしているだけで 蜂は 他の動物に 怖がられるんじゃ。それで 鳥や 蛙に 襲われないし 猟師のお前のお父も 怖くて逃げる。これが虎模様のご利益じゃ」と 屏風(byoubuを 指差しました。
狐が それを聞いていて「猟師に 殺された仲間の仇Ksatakiを 取りたくて仕方なかったので 虎に化けて 猟師を 脅して 山に入
れなくしてやろう」と 考えました。所が 狐は 虎を見た事がなく、和尚の指差した屏風は 残念にも 物陰にあって 虎の絵の虎模様の一部が 解っただけで、他の部分は 良く見えなかったのです。子供達が帰る途中に 狐は和尚に化け呼び止め「復習は大切じゃ。虎は どんな獣じゃったかのう。」と 偉そうに 尋ねました。和尚を 尊敬していた子供達は 虎について 和尚を 満足させようと 真面目に 復習してくれました。狐は 一つも聞き流さないよう 聞き耳を 立てました。子供達は「見た目は 猫にそっくりじゃ。」「猫より 胴が長く 熊より大きい。」「前足が 大きく 牛より太い。」「胸の辺りが 大きいが 腰は 華奢Kyasyaじゃ。」「背中は たわんどって 腰は 盛り上がっていて 肩も 盛り上がっておった。」「頭は 胸と同じ位じゃと 覚えておる」と 言うと、狐の和尚が「顔は どんなじゃったろうか。」と 尋ねました。子供達は「丸っこい顔で 目はギラギラじゃ。」「鼻は 大きめで 耳は丸く小まい。」「牙は 狼より 強そうで 口は 頬まで 裂けとったよのう。」「尻尾Sippoは 猪inosisiより 長くて 太く しなやかそうじゃ。」等と 答えてくれました。そこで 虎の姿を想像して、聞いた通りの虎の姿に 狐は 化けました。子供達の前に立ち塞がって見ると子供達は奇怪な見た事もない動物を見て 驚いて逃げました。これに 狐は 自信を持って 次々村人を 驚かし、逃げる人間を 見て楽しく「これなら間違いなく 猟師共も 恐れる。」と 有頂天に なったのです。村人は 危機を感じ、化け物を 退治しようと考え 猟師に 頼みました。虎に似た毛皮だと 言うのを 聞いて 猟師は 張り切って引き受けました。
虎は日本にいないので 虎の皮は 高く取引されていたからで「虎に似た動物で、見た事もない動物なら その皮は もっと高く売れる。1頭 捕れば 一生 楽に暮らせる程の値段が付く」と 思われたからです。危険を押して 森に出かけると、物凄く奇怪な形の 虎模様の動物が 現れました。普通の人なら 腰を抜かさんばかりに 驚いて 逃げたでしょう。しかし なぜか 猟犬は 勇敢にも 奇怪な虎に 吠え掛かるのです。犬は 臭いで 狐だと 解ったからです。犬の襲撃を 予想しなかった奇怪な虎は ヘッピリ腰になり 猟犬を 恐れました。尻込みしたのを見て 猟師は喜んで 急所を 撃つと、奇怪な虎は あっさり死んで 狐の姿に 戻ったのです。猟師は 腹が立って狐を犬の餌にしました。「三谷野呂の百怪談」 「群盲象を撫でる」と 言う諺があります。大勢の人が それぞれ部分部分を 正しく表現したとして、各部分を つなぎ合わせて 全体像を 再現したとしても、真実の姿は 復元できない事が しばしばあり、多くはむしろ 奇怪な姿に 成ります。専門家が語る 断片的な事を寄せ集めでできた 理論が 正しいとは 限りません。一つでも 誤りがあれば 全体像に 大きな影響を及ぼ し 間違った結論となるからです 。
平成23年(2011年)9月3日
ある夏の日に 旅人が 暑さに茹だりながら 街道を歩いていると、檻に入れられた虎が「あのぉ 旅人さん わしを出してくれまいか」と 声を掛け頼んできました。旅人が「やじゃ 。 檻から出したら 一番に わしが 喰われようものぅ。」と 答えると 虎は「そぎゃぁな惨ぇ事ぁせんけぇ 頼まぁ」と 切なそうに 言いました。正直で 心の優しい旅人は 虎の哀れっぽい声に 心を動かされ 檻から 出してやりました。すると虎は「人間は 悪い奴ばぁじゃ。誰に 聞いてもそう言う。」と 言って 今にも 襲おうとしました。旅人は このままでは 食われると思って「わしは そねぇな悪もんじゃぁねえ。これから 出合う三人のもんが 三人とも わしを 喰って良ぇと言うのなら 潔く 食われてやらぁ」と 自信ありげに 条件を付けました。虎も「わしも男じゃ。二言は無ぇ。助けてもらった恩もある。お前が 世間に迷 惑をかけているなら 食わしてくれぇ。」と 言うと、牛に 出合いました。虎が「牛さん。こ奴らは 悪ぃ奴か。」 と 尋ねると、牛は「とんでもない悪さじゃ。うち等の乳を 搾り取った上に 肉まで 食うし 皮まで剥ぐ。人間なんぞぅ 早う食うてくれぇ。」と 答えました。虎が 涎を垂らすと 旅人は 思いもよらぬ成り行きに 慌てて「待ちねぇ。まだ二人居る。暑ぃ暑ぃ。」と 冷や汗を かきながら 大木の木陰に 涼を取ろうと 座りました。すると虎が 大木に「こいつ等ぁ 悪い奴か。」 と 尋ねると、大木は「そりゃぁぼっけぇ悪いぞ。わしの木陰で 涼んでいるくせに。明日りぃにゃぁ わしを切って 銭にする事に なっておる。人間なんぞ 遠慮せず 食うてくれ。」と 答えました。虎が 涎を啜っていると 曲がり角から 狐が出て来て 虎を見て逃げようとしましたが、虎が 素早く行く手を 阻んで「こいつ等ぁ 悪い奴か。」と 尋ねました。狐は 暫く思案して「何の事じゃ。初めから 事の仔細を 見せてくれにゃぁ 何のことか 解らん。事の初めの所ぇつれていって つかぁせぇ。」と 虎に 気付かれないよう 旅人に 目配せをして 答えました。速く食いたいと 焦っていた虎は 早く質問の答えを 少しでも早く 聞きたくて 何も考えずに 檻の所に狐を 案内して行きました。狐が「初めは 虎さんは 檻の中にいたんか。なら入っておくれぇ。」と 言うと、旅人が 扉を開け 虎は 檻に 入らせました。虎が入ると 旅人は バタンと 扉を閉め 鍵を掛けました。虎と 狐は「これでわし等ぁ 虎に 食われまい 。 これでいいのだ。これでいいのだ。」と 歌いながら ウキウキとして 道を 戻って行きましたとさ。「旅人と虎と狐 - 山形県の昔話 | 民話の部屋 (minwanoheya.jp)」 平成23年(2011年)9月3日
豊野 権現山 から池口 人間喰いたい We want to eat human
豊野の永浄寺の建つ権現山の裏手を 抜ける道は 大平山に 続きます。上有漢に 向かうには 天福寺を 通る道があるのですが この大平山を 抜ける道は 直線的で 上有漢に向かう近道でした。しかし 整備されておらず 道幅も狭く 道脇の草や 笹が 覆いかぶさり 石ころが ゴロゴロしていて、歩いて行くには 不便過ぎました。だから 余程の急ぎの用がある者しか 利用しませんでした。与吉は 刎田Hanedaの大百姓から 上有漢の庄屋に 正月用の飾りを 届けるよう 頼まれました。大百姓の家長は「歳神様は 毎年 生まれ替られ 大晦日の朝早くに お見えになる 。 初めて訪れられるのだから 依代のお飾りが 無ければ どこの家に 降りてきてよいか 判らないし、神様を迎える気もないのか と 立腹して 神様は 山に戻られるかも知れん。仮に 年神様が 一日中お探しになっってくださったとしても 第一 葬式みたいで 気分が悪い。たった 一日前では 神様に誠意を 示せない 。29日では 苦の日じゃ。28日の今日中に 必ず届けて下され。」と きつく 言い渡されました。今日中に 絶対に届けようと 硬く心に決め、狼や 天狗に 遭遇する危険も省みず、雪や 霜の冷たさに 手先 足先の刺すような痛みを 堪えながら 昼とは 言え 林立する 凛烈な大木の陰の あくまで薄暗い中を 気味悪い気持ちを 押し殺して 少しでも早く 峠を越えようと 道を急ぎました。しかし、何故だか この日の日暮れはいつもより早く 訪れてきました。気色悪い 青緑の氷の張った池の近くに 来ると、何やら 大勢の囃子声が 聞こえて来ました。与吉は 逃げようと思いましたが 一本道なので 走り去る事は 出来ず、竦んむ 足を 手で 引きずりながら やっとの思いで 藪陰に 隠れました。しかし 十分に 身を隠せません。あの囃し声は アッと言う間に 近づいて来たのです。少し向うに 動くものがありました。狐でした。狐は 手招きし 与吉を呼んでいるように 見えます。狐に化かされると 思いましたが もう後は ありません。狐に騙されるか 追いかけてくる化け物らしい者に 捕って 食われるかの 二者択一です。勇気を 出して 与吉は狐に「あの恐とそうな者に 殺させる。あの恐とそうな者ぅ 騙して助けてつかぁせぇ。」と 頼みました。すると狐は 与吉の袂を 咥え もっと深い叢Kusamuraに 誘ったのです。狐は 与吉の頭を 押さえ もっと深く身を 伏せろと言うように 頭の上に 乗りました。与吉の姿は 完全に 藪影に隠れ 少し離れた所からは 狐の頭が 見えるだけになりました。それでも 与吉は 様子を知りたく 藪陰から伺うと 鼻が高く 赤ら顔で 口が裂け 髪Kamiを乱し 眼光が 虎のような 悪鬼さながらの 天狗達が 鉄棒や 木刀で 地面を叩きながら、薮陰に潜むものを 追い出しながら オオオーー・ギャアホオーと 訳の解らない 奇声を 上げながら迫って来ていたのです。
中の一匹が「人間臭ぇ。人間臭ぇ。人間食いてぇ。人間臭ぇ、人間臭ぇ。ここらに居るぞ。」と 叫ぶと 皆は 辺りを手分けして 盛んに 探しました。 すると 狐が出て来て、深い藪に 誘い 与吉の頭に チョコンと 乗りました。天狗達は与吉を見付ける前に 狐を見つけました。天狗は 狐が 色々の物に化けて騙すので 狐に苦手意識を持っていました。そのお陰で 天狗達は 人間捜索を 途中で止め 権現山へ 帰って行きました。与吉は やっと胸を撫で降り下ろし、狐に お礼を言おうとすると 逆に 狐が礼を言って 帰って行きました。かつて 狼に 囲まれていた 子狐を 助けてやった事を その時 やっと思い出しました。与吉は 大役を 無事に果たし 村に帰り 村人に 称賛されました。池の口には 永浄寺の祠があります。「賀陽町史から池口の天狗p786」を基にした物語 刎田・ハ子田:豊野802・863番地等 豊野羽田818番地:北緯34度52分32秒・東経133度41分25秒 羽田城跡・刎田城跡:北緯34度52分30秒・東経133度41分26秒 新池:権現山の西北 北緯34度53分41秒・東経133度42分22秒 豊野権現山:北緯34度53分19秒・東経133度42分3秒 上有漢権現山:高梁市有漢町上有漢 北緯34度53分38秒・東経133度40分54秒 大平山・豊野西の谷3420-1憩いの森:北緯34度53分56秒・東経133度42分25秒 平成24年(2012年)2月18日
狐の恩返し GRATEFUL FOX
昔 病気の母を 看病しながら 暮らしていた息子がおり、家事の合間に 近所の家の手伝いをして 薬代を稼いでいました。ある日 薬を買いに町に行く途中 鼻がくすぐったく成り 思わず大きなクシャミをしました。すると弓を持った猟師が カンカンに怒りながら現れ「こら。小僧のんびり昼寝をしていた狐の親子を 狙っていたら お前が 業と邪魔した。わしが矢を放った瞬間 に お前のクシャミに驚いて 狐が飛び上がったので 矢が外れた。責任を取って 狐を捕まえて来い。それができないなら¥ 狐代を払え。」と 捲し立てました。息子は 困って薬代に用意したお金
を 全部 猟師に 渡しました。その夜 気落ちしながらも「お母ちゃん。御免ね、御免ね。」と言いながら 息子が 母を 看病していると、トントンと 戸を叩き 誰かが 訪ねてきました。扉を開けると 見知らぬ母子が 布包を持って 立っていました。見知らぬ母子は「昨日は ありがとうございました。おかげで 命拾いをしました。これを 薬代の足しにしてください。ずいぶん昔に 大金を拾いました。そのお礼として 落とし主から 私共が 頂いたものです。」と 布包を 渡しました。狐達が 嬉しそうに スキップを踏みながら帰った後 布包を 開けてみると 小判が ぎっしり詰まった それは立派な 財布が入っていました。息子は 狐の帰って行った方向に 深く首をたれ 涙して感謝しました。そのお金で 高価な薬を買い 母に飲ますと 母はみるみる元気になり 二人は 生き生きと 百姓を続けましたとさ。「狐の恩返し - 栃木県の昔話 | 民話の部屋 (minwanoheya.jp)」 「狐の恩返し」の民話は多くあります。「狐の恩返し- 埼玉県の昔話 - 民話の部屋 | フジパンhttps://minwa.fujipan.co.jp/area/saitama_014」「https://www.youtube.com/watch?v=mzbjWAveS」「キツネの恩返し 山形県の民話 <福娘童話集 きょうの日本民話> (hukumusume.com)」「キツネの恩返し|龍ケ崎市公式ホームページhttps://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/kanko/kankokyokai/」 RCCradio.rcc.jp/minwa/entry-6622.html」「https://arasujikun.com/archives/455」「nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=208」
平成24年(2012年)2月18日
中之谷集会場の坂上に 消防施設があり 道が 分岐します。左の細い方の道を 選び 南谷に向かい 登ると 峠で 大道に向かう道が 分岐します。大道側に回ると 左手に 身延様があり 太い道に出ます。大道に向かう道を 進むと 左手に池が見え フジオリの峠に差し掛かります。フジオリに 悪戯好きItazura-zukiの狐がいました。フジオリは 寂しい所で 夜には 誰も通りません。ある男が 仕事帰りに 友達の家を訪ね 話過ぎて遅くなりました。帰り道で 男は この辺りの地理に疎かったので、迷子になりました。
すると 峠に差し掛かる辺りから 急に辺りが暗くなり 不思議にも 夜のようになってしまい 道先が良く見えなくなりました。太い道を 行けば 明るい所に出るだろうと 思ったので 太い道を選んで 進むのですが なぜか どんどん道は 細くなり 山に 入って行きます。フジオリには 性悪な狐が出ると 聞いていたので 心細くなりました。不安に陥った気を 落ちすかせるために 道端の石に座り 狐が嫌いとされる煙草Tabakoを プカリプカリとゆっくりと吸ったのです。すると 気持ちが 落ち着き 冷静さを取り戻したので、辺りを見回すと どこかの家の灯Akariが見えました。ともかく 夜も遅いので 一夜の宿を 頼もうと 明りに向かい 暗い道を 足先で探りながら 少しずつ坂を下って行きました。近付いたので 家の様子が見ました。どうも見たような庭や 母屋だと思ったのです。思った通り その明りは 出発前に 訪ねた家の灯火Tomosibiだったのです。友人は帰ったはずの男が 夜更けに戻って 来たので 驚きました。「あんたも 意地悪狐に 騙されたんか。今日は 帰ろうとしても また狐に 騙されるだけじゃ。泊まりんせぇ。明るくなんりゃぁ 狐も 騙さんじゃろう。 朝を 待ってお帰りなせぇ」と 言われたので、好意を 受け入れて 泊まり、翌日 家に帰りました。「宮地中之谷の婦人より口伝」 平成23年(2011年)9月27日
宮ノ谷のある男が 大道の親戚に 使いに出されました。フジオリの森の中の細い道を進んでいて、なんとなく 道を迷ったような気がしたので 次の交差点では 正しい方向と思う道を進みました。すると 前に通ったような所に 出ました。今度は 間違わないようにと 思っていると 又 あの交叉点に来たので 先程とは 別の道を進みました。しかし 先に通った道を 進んでいる様な 不吉な予感がしました。案の定 また元の所に出ました。困り果て 木の株に 腰掛け 煙草を吸い始めました。すると 木の株が 突然に消え 空気椅子に 座らせられたのです。ゴロンと後ろ向きに転び落ちると 懐の手拭いを 落としてしまいました。転んだ拍子に 汚れた手を 拭こうと 手拭いを 拾おうとすると スルリと 手から抜け落ちました。すると 旋風が吹いて 足先に絡みつきました。こんどこそと 思って手を 翻すと 手拭いも 翻り 薮に飛んで行きました。薮に 素早く手を伸ばすと 運悪く茨の刺に触れました。血が出たので 血を止めようとして 懐を思わず探ると 落とした筈の手拭いが ありました。不思議な 出来事を思い返しながら 傷口を 縛り ふと山際を見ると 狐が 愉快そう顔をして アカンベェをしながら こちらを見ているのです。「そうか あの狐が騙したのか。しかし 童が 何かねだっているような可愛らしい仕草じゃ。」と 思い、お弁当のおかずが 油揚げだったので ポイと投げてやると 嬉しそうに食べて 新しい術を 披露しました。男が 面白い手品を 見せてもらうと 手を叩いて褒めてやりました。それからは 男はこの道を通る時には 油揚げのお弁当を 用意しました。狐は 男に たわいない悪戯をしかけ、その面白さに ご褒美をもらい 一匹と一人は 仲良しになりました。「宮地中之谷の農夫より口伝」平成31年(2019年)3月31日に【岡山「へその町」の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利吉備中央町図書館 吉備中央町教育委員会】が発行されました。p42に同じ所をグルグル歩かされる「山の中を歩く」が載せられています。p46に「灯を見せる」と言うと藤折れの狐の物語が載せてあります。
平成23年(2011年)9月27日
おしゃま狐 fox of quite the little lady
昔 城山に「おしゃま」と呼ばれていた歌のうまい狐が住んでいました。その歌声が 遠い時は何事もないのですが、近くの時は 町で何か事件が起こるのです。ある良い月の夜 殿様が散歩していると 美しい官能的な歌が 遠くから ドンドン近づいて来 終に耳元まで近づいたのです。聞き惚れていた殿様は ハッと我に返り 飛んで城に戻ると 家来達に 町中を見回らせました。すると 何と城の金蔵の千両箱が 1個無くなっていたのです。「おしゃま狐め。やりおったな。」と 言って殿様は 家来達に 山狩りを命じました。家来達は「いつまでも ウロウロしているような間抜けな泥坊が 居るものか。」と 不満を言いながら 殿様の命令なので 嫌々 従い 山狩りすると、城を 囲む山道を 大汗をかきながら 千両箱を担いで グルグル回っている男を 見つけたので 逮捕しました。男を 殿様が 直々取り調べると「2日も前から城の蔵を狙っておりました。すると 突然 ご家中の者達が 全員出掛けられたので 容易に蔵に 忍び込めました。逃げようとするのですが なぜか 同じ道に 戻ってしまうので 焦り 冷や大汗を たんまりとかきました。運よく 手拭いがあったので 拾おうとするとスルリと逃げ また拾おうとすると スルリと 逃げるのです。そうするうちに 捕まりました。」と白状したのです。殿様も 家来達も「おしゃま狐が 城を守ってくれた。」と 感謝し 稲荷大明神様に 油揚げを持って 詣でました。城の者と おしゃまは 仲良しになり 領内は 栄えましたとさ。「木曽町の昔話 (minsyuku-matsuo.sakura.ne.jp)」 平成23年(2011年)9月27日
宮地 入道狐 Monnk-fox's monster to be higher in stature by lookinng in Tyouzu-no-tawa pass
中之谷から田和村へ越す、チョウズ乢Tyouzu-no-tawa/Tyouzun-tawaに狐が いて 正直者で 気立ての優しい作五朗が 手作りの野菜と 薪Maki を町に売りに出かけたその帰り道、大入道に 脅され気絶したそうです。「吉備中央町の民話(1)」
昔 田和村に 正直者で優しい性格の作五朗と言う男が いました。自慢の手作りの野菜と 薪を 山根の町や 新見の町に売りに出かけましたが さっぱり売れず 新見からの帰り道 チョウズ乢に 差し掛かりました。重い荷に 難渋しながら 長い道のりを 真夏の暑さに 耐え 運んだので 飲み水も 食べ物も尽き 果てました。喉の渇きと 空腹と 日射病のため 意識を 失いそうになっって 息も絶え絶え 坂を登っていると 突然真冬の北風の様な冷たい風が 吹き始め 凛冽の雨が降り、高い木の上に サワサワと 何者かが 移動する音がするのです。立ち止まり音の正体を見ようと 見上げると 音は消え 栗鼠risu程の大きさの動物が 木の上にいて 見下ろしていました。「なんだ 栗鼠か。」と 思い歩き始めると、音は ザワザワと大きくなり 付いて来ました。上を見上げると 猿程の動物が 見下ろしていました。「大きくなった。」と 怖さを 覚えたので 足を速めると ザワッザワッと 追いかけてきました。怖さで足が竦み 震えながら見上げると 熊程の大きさの動物が 木の枝にぶら下がっていました。その動物と 目があうと ドンドンと大きくなり 枝は 撓みTawami 動物は目の前に 降り立ちました。狐のような細い目と 深く裂けた口 長めの首を持つ入道頭の巨人で 前かがみな 細身の体付でした。木陰から 覆い被さり 今にも 喉笛を 嚙み切ろうとする様子でした。作五郎は 恐ろしさで気を 失いました。どれ位 時間が経ったかわかりませんが、作五郎が 目を覚ますと 喉の渇きも 空腹も 体温上昇も 癒え 着衣も濡れていず 自宅の縁側に 寝ていました。水に濡れた 大きな重い荷物が 脇に置いてありました。作五郎は 以前に チョウズ乢で 狐の子が貉Mamusiに襲われていた処を 助けてやった事を 思い出し「あの時の子狐の親が 恩返しに 水や 食べ物を 飲食させてくれ、凛冽の雨で 体を冷やし、重たい荷物を 運んで 行き倒れ寸前のわしを 救ってくれた」と 思いました。「入道狐」を基にした物語 長住乢:宮地1374-1376・1959番地 宮地妙法1367番地の北方 北緯34度47分25秒・東経133度41分50秒 田和集会場:北緯34度47分37秒・東経133度41分42秒 山根集会所:北緯34度48分2秒・東経133度42分21秒 見越入道・次第高:地域により 性格にバリエーションがありますが 夜道の坂道を一人で歩いていると 僧侶姿で突然現れ、見上げれば大きくなり 見下すと小さくなります。見上げ続けると 圧し掛かられ 殺されますが「見こした」と 言えば 消えます。 狐 貉 あるいは狸の化け物と されます 熱中症・熱射病・日射病:暑い日和や 過剰な暖房等 暑熱環境下長くいると 脱水に伴い 体温が上がり過ぎ 多くの臓器が 働きを弱め めまい 失神 頭痛 吐き気 異常な発汗や 汗の停止等が 起こり、しばしば 脳機能障 腎臓機能等の後遺症を残したり 死亡する事があります。 治療は輸液等脱水の改善と 冷却等体温上昇改善です。「https://ja.wikipedia.org/wiki/熱中症」 平成24年(2012年)5月4日
次第高 Sidai-Daka
ある所に 次第高と言う 化け物が 居りました.猟師が 山に入る時には どんなに猟果があっても 次第高の襲撃に備え 最後の一発の弾だけは残しておかないといけません。上を仰ぎ見ると 後ろ向きに倒れ易いので 仰向けに見てはいけません。ある時 猟師が 山に入り 沢山の獲物を捕って 意気揚々と 帰路に付くと 上の方から 声が掛けられました。驚いて見上げると 化け物がいて 見る見る大きくなり 襲い掛かられました。仰向けに押し倒され のし掛かり 喉元に咬み付こうとするので「殺されて堪るか。」と 最後まで残しておいた 一発の弾で 上に向けて一か八かで 打つと 弾は化け物の顔に命中し 入道姿の化け物は 大きな猫様な尾が二股の獣に戻り姿を消しました。猟師は「猫又の親玉だ。」と思いました。「www.rg-youkai.com/tales/ja/32_shimane/02_sidaidaka.html」 平成24年(2012年)5月4日
見越入道物語 Tale of Mikosi-nyuudou
見越入道と言う妖怪がいて 夜寂しい処を歩いていると 僧侶姿で現れます。その姿を見上げると大きくなり、見上げ続けると 竹の様な高さになり 倒れて来てのしかかり 喉元を食いちぎって 殺すとされます。殺されないためには「見越入道 見越した」。」とか「みこした。」等と 正体を暴いた事を 知らせる呪文を 唱えると 消えるとされる。又 差金Sasiganeを 持っているなら 妖怪の背丈を測ろうとすれば 嫌がって消えるともいわれ、妖怪の持つ提灯や 鉈を壊すと 命の危険を感じて 消えるとされます「https://dic.pixiv.net/a/見越し入道」。「見越入道は 人の背後から近付き 首を伸ばして 頭越しに顔を見て ニタニタ不気味に笑い、見下ろして 命を縮める。」と 言う話を聞いた ある とぼけた男が「いい考えが浮んだ 傘を1張り 杖と結素Yuisoを5本 そして 鋏を一丁 用意してくれ。あんな悪い奴なら 皆のために 俺が退治してやる。」と 豪語しました。友人が「どんな策じゃ。」と 尋ねると、男は「傘をさして 夜道を歩く すると見越入道が現れ 傘越しに見越そうとする すかさず傘に 杖を継ぎ足す。又 妖怪がその上から見越そうとする。杖を継ぎ足す。5本も継ぎ足す頃には 妖怪の首が 伸びきって細くなる 。そこで 細い首を 挟みで チョキンと切る。 これで 妖怪は お陀仏さ。ハッハッハ。」と 豪快に 笑い飛ばしたとさ。 結末は どうだったか解らない。「hukumusume.com/DOUWA/new/2008/05/18.htm」 平成29年(2017年)3月31日に【岡山「へその町」の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が発行されました。p273 に「黒土の大入道」と言う記事が載っています。「見越入道」を参照ください。
平成24年(2012年)5月4日